出光法人専用カードのメリット・デメリットと詳細について

法人で発生する費用は、法人カードで支払うことで支払いを一本化し、経理業務を簡略化することができます。

その際、さまざまな特徴をもった法人カードの中から、実際の利用シーンを思い浮かべて利便性の高いカードを選ぶべきです。

そこで、「出光法人専用カード」の特徴について解説します。

出光法人専用カードの特徴

出光法人専用カードは、一部を除く全国の出光SSで決済することができる、年会費無料の法人専用のガソリンカードです。

法人カードとは言え、個人事業主でも申し込みすることができます。出光SSでの決済以外にも、専用のリースサービスやカードローン、事務用品の通販サービスもこのカード1枚で利用することができます。

しかしながら、ガソリンカードの宿命ともいえる「一般的なクレジットカードとは異なる」という点は無視できません。

国際ブランドが無く、ポイントサービスや旅行傷害保険などのサービスは付帯していません。このカードで利用できない決済やサービスについては、別の法人カードをメインカードとして利用することをオススメします。

メリット

出光法人専用カードは、年会費がかかりません。出光SSでの決済だけではなく、一部のサービスの利用料もこのカードで決済することができます。出光SSを積極的に利用する場合、メリットの大きなカードとなります。

• 年会費無料（ETCは1枚500円）
• 全国の出光（一部除く）で給油点検整備が可能
• 車両管理や経費事務処理が簡単に
• 出光カードカードローンを利用可能
• 法人会員専用リースを利用可能
• 事務用品通販「カウネット」を利用可能

年会費無料（ETCは1枚500円）

出光法人専用カードのメリットは、年会費が無料であることが第一に挙げられます。クレジットカードの中には年会費が数千円～数万円かかるカードがあり、持っているだけで費用の負担が必要になってしまいます。

しかし、出光法人専用カードは年会費が無料であるため、持っているだけなら一切の費用が掛かりません。少しでも経費を節約したい法人にオススメです。

ただし、出光法人専用カードは「ETCカード」を追加できるのですが、ETCカードを追加した場合は1枚につき500円の年会費がかかるので注意が必要です。ETCカードを何枚も発行したい場合だと本カードの年会費無料のメリットが損なわれてしまいますので、ETCカードに年会費のかからないカードの方が良いかもしれません。

全国の出光（一部除く）で給油点検整備が可能

出光法人専用カードは、出張先や長距離運転での給油点検整備が出光サービスステーションにおいてサインひとつで利用できます。一部SSではこのカードを利用できない場合もありますが、基本的に全国の出光SSでこのカードを使っての給油や車の点検、整備などを利用して決済することができます。

法人の業務は、社外に出向いて行う仕事も少なくありません。その際、車を使うとなるとガソリンの給油や車の点検、整備が欠かせません。法人にもよりますが、一般家庭で使用する車よりも消耗が激しくなることもあるでしょう。

出光法人専用カードは、全国の出光SSで使用することができます。その具体的なメリットについては、次の項で詳しく解説します。

車両管理や経費事務処理が簡単に

出光法人専用カードは、車両管理や経費事務処理を円滑に行うことができるというメリットがあります。法人で複数の車両を使用する場合に、このメリットは活かされることになるでしょう。

出光法人専用カードは、1法人で最大で99枚まで発行することができます。そして、発行したカードごとに「どこで利用したか」「何を（給油や整備など）行ったか」を利用明細で確認することができます。社用車にこのカードを固定化することで、どの車がいつ何をするために出光法人専用カードを使用したのかが一目瞭然となります。

そして、追加発行したカードも含めて出光法人専用カードで決済した金額は指定の預金口座から一括で引き落とされます（締め日および引き落とし日は後ほど解説）。これにより、個別に経費精算する手間が省け、経費事務処理を楽にしてくれます。

出光カードカードローンを利用可能

出光法人専用カードでは、専用の「カードローン」を利用することができます。

法人では、さまざまな場面でお金が必要になります。場合によっては、資金繰りが困難なケースもあるでしょう。しかし、すべての法人が銀行や金融機関からお金を借りられるわけではありませんし、ちょっとした不足額を補うのにその都度融資の申し込みをするのも面倒です。

出光法人専用カードでは、最大100万円の融資を受けることができます。しかも、一般向けの融資と比較して若干ながら金利が安く設定されているので、金利の負担を減らしながら資金繰りをスムーズに進められます。

法人会員専用リースを利用可能

出光法人専用カードでは、「法人会員専用リース」というサービスを利用することができます。リースとは、設備などの物件を業者が購入し、使用者が業者にリース料を支払って対象動産を使用するという契約方式です。

出光法人専用カードでは、以下の物件がリースの対象となります。

• 情報機器
• OA機器
• 工作機器
• 荷役機器
• 商業店舗設備
• 美容機器
• 娯楽設備
• ホテル設備
• 介護設備
• その他の機器

発生するリース料は、ガソリン代などと一緒に引き落とされます。

また、リース物件にはいざという時に安心の動産保険が付帯し、再リースはお得に利用することができます。初期投資にかかる費用を抑えつつ業務に必要な設備を充実させることができるサービスです。

事務用品通販「カウネット」を決済可能

出光法人専用カードを作成すると、「カウネット」というサービスをカード決済で利用することができます。カウネットは「コクヨ」生まれのオフィス通販サイト、文具や事務用品などを購入することができます。

後ほどデメリットの項目でも解説しますが、出光法人専用カードはガソリンカードであり、一般的なクレジットカードのような使い方はできません。しかし、カウネットや前述のリース料は、出光法人専用カードで支払うことができるのです。

法人では、さまざまな文具やオフィス用品を必要とします。その購入をカウネットで簡単に行い、しかも経費管理もガソリンやリース料と一緒に請求されるので簡単に行うことができます。

デメリット

出光SSでの利用などをメインとする場合であればメリットの多いカードではあるのですが、デメリットも存在します。

まず、このカードは一般的な国際ブランドを持つカードではないので、カードショッピングはできません。また、給油価格が安くなることはなく、車両番号の登録などもできません。

• 国際ブランドなし、出光以外では利用できない
• 申し込みはインターネットで完結しない
• 給油価格は安くならない
• クレジットカードならではのサービスは一切付帯していない
• 車両番号を登録できない
• 分割払いに対応していない

国際ブランドなし、出光以外では利用できない

まず、出光法人専用カードは国際ブランドを持ちません。つまり、VISAやMasterCard、JCBなどのカードブランドと提携している店舗での決済に、このカードを使用することはできません。

ガソリンカードは、基本的に発行会社が運営するガソリンスタンドでのみ決済に利用することができます。国際ブランドを持たないため、一般的なカードショッピングに利用することはできないのです。

もし、会社の経費をできる限りカード決済しようとするのであれば、VISAやJCBなどのカードブランドを持つ一般的な法人カードを作成する必要があります。それをメインの法人カードにして、出光SSなどでの決済にこのカードを利用するというスタンスになります。

申し込みはインターネットで完結しない

出光法人専用カードは、インターネットで申し込みすることができません。このカードはネット上で申し込み用紙を請求し、必要事項を記入して添付資料とともに郵送することで申し込むことができます。

法人カードの中には、インターネットで申し込みが完結するカードもあります。24時間いつでも申し込み手続きができ、郵送での申し込みよりも早く手続きと発想が完了することが多いです。

このカードの場合、申込用紙をインターネット上で請求し、発送された用紙を使って申し込まなければなりません。結果、カード発送までに時間がかかる可能性が高くなります。

給油価格は安くならない

出光法人専用カードで出光SSでの給油を行っても、給油価格は安くなりません。出光クレジットカードの中には給油価格がリッターあたり数円ほど安くなるカードがありますが、出光法人専用カードの場合は出光SSで給油する際に店頭表示価格での給油となります。

車の利用頻度が高い場合、ガソリンの消耗も激しくなります。当然、車を動かすためには給油が必要であり、その際にはコストがかかります。経費で支払うのであれば、少しでも安くしたいところです。

「出光SSでの給油価格を抑えたいから」という理由で法人カードを作るのであれば、残念ですが出光法人専用カードは不適切です。割引を受けられず店頭価格での給油で良いのであれば、このカードで問題ありません。

クレジットカードならではのサービスは一切付帯していない

出光法人専用カードは、クレジットカードに付帯している一般的なサービスは付帯していません。お得にカード決済したいのであれば、このカードは適していないということになります。

例えば「ポイント還元」です。カード決済〇円あたり〇ポイントというように、カードの利用額に応じたポイントが貯まり、貯まったポイントをさまざまな商品やサービスと交換することができます。

他には「旅行傷害保険」です。旅行時の事故でけがした際の医療費など、高いものだと1億円の補償を受けられる保険が付帯しているカードもあります。出張にも適用されるため、安心して出張で国内外に出向くことができます。

出光法人専用カードには、そうしたサービスは一切付帯していません。サービス豊富なクレジットカードが欲しいのであれば、一般的な法人カード（サービス重視であればゴールドカードなど高ランクのもの）を選択しなければなりません。

車両番号を登録できない

出光法人専用カードは、「車両番号の登録」ができません。不正使用の温床になる可能性がありますので、カードの管理はしっかりと行う必要があります。

分割払いに対応していない

出光法人専用カードは、「分割払い」に対応していません。選択できる支払い回数は1回のみであり、分割払いを選択することはできません。このカードの締め日は月末、支払いは翌々月の7日なので、猶予はそれなりにあります。

法人カード選びとして出光法人専用カードを比較

出光法人専用カードは、法人カードとしては利用シーンが限定的です。多くのシーンで決済に使用したい場合、一般的な法人カードを選び、出光での給油等の際には出光法人専用カードを使用するという使い方がオススメです。

初めてのカード選びとして比較

初めての法人カード作成となると、「年会費の安いカード」がオススメです。年会費が安く、コスパの良い法人カードとしては以下の3枚をオススメします。

• JCB一般法人カード
• ビジネクスト法人クレジットカード
• ライフカードビジネススタンダード

「JCB一般法人カード」は、JCBのプロパーカードであるため信頼性が高い法人カードです。年会費は1250円と安く、付帯サービスが充実しているためコスパが良いです。

「ビジネクスト法人クレジットカード」は、年会費無料の法人カードです。限度額100万円以下であれば財務資料なしで申し込めるので、立ち上げ間もない法人にオススメのカードです。

「ライフカードビジネススタンダード」は、同じく年会費無料の法人カードです。年会費無料のわりに限度額が最高500万円と高額であり、高額決済の多い法人にオススメのカードです。

ステータス、年会費等の同レベルカードと比較

法人ガソリンカードは、出光法人専用カード以外にも数多く存在します。利用するガソリンスタンドの種類に応じて作成することをオススメします。主な法人向けガソリンカードは以下の通りです。

• ENEOS BUSINESS
• コスモコーポレートハウスカード
• シェルビジネスカード／SS専用カード

「ENEOS BUSINESS」は、エネオスSSで販売する商品やサービスに使用できる法人ガソリンカードです。年会費は無料ですが、ETCカードを追加する場合は500円の年会費がかかります。

「コスモコーポレートハウスカード」は、全国のコスモ石油で利用することができる法人ガソリンカードです。使用者に合わせて、このカードとJCBが付属しているカードを組み合わせて発行することもできます。

「シェルビジネスカード／SS専用カード」は、昭和シェル石油SS内のすべての商品に利用可能なガソリンカードです。発行パターンがいくつかあり、このカードの他にも給油専用の「FUELカード」などを発行することもできます。

出光法人専用カードの基本情報データ

出光法人専用カードに基本データは以下の通りです。

・年会費：無料
・還元率：なし
・国際ブランド：なし
・利用限度額：非公開
・海外旅行傷害保険：なし
・国内旅行傷害保険：なし
・追加発行できるカード：ETCカードと追加カード
・締め日：月末
・支払日：7日
・申込条件：法人（個人事業主を含む）

まとめ

出光法人専用カードは、出光SSでの決済の他にも2つのサービスの決済にも利用することができます。年会費無料で交通費精算を簡略化し、経費事務をスムーズに行うことができます。出光SSの利用が多い法人にオススメです。

ただし、一般的な法人カードとは異なり国際ブランドを持たないため、出光以外では基本的にカード決済することはできません。そのため、メイン利用となるカードを別に作る必要があります。