法人カードはポイントが貯まりやすく、貯まったポイントを活用すれば経費の削減が見込めるため、導入を行う企業や個人事業主が増えつつあります。一般社団法人日本クレジットカード協会の発表によると、2018年3月末における国内のクレジットカード発行枚数は前年比2.3%増加の2億7,827万枚であり、うち法人カードの発行枚数は前年比8.6%増加の1,002万枚でした。[注1]
今回は、法人カードで貯まったポイントをビジネスで賢く活用する3つの方法、還元率が高いおすすめの銘柄について紹介します。
[注1]クレジットカード発行枚数調査結果の公表について:一般社団法人日本クレジットカード協会
1. ポイントをマイルに移行して出張の際に活用する
法人カードによる経費支払いで貯まったポイントの代表的な活用方法がマイル移行であり、獲得したマイルは航空券との交換やシートを上位クラスにアップグレードする特典などに充てられます。
海外出張時はマイルを使ってシートをビジネスクラスやファーストクラスにアップグレードすることで、長時間搭乗における心身の負担を軽減することが可能です。
マイルはポイントからの移行に限らず、有料道路を走行した際のETC利用や国内線・国際線を利用した際に一定のマイルが付与される法人カードも存在します。
ただし法人カードは高額な経費の支払いで利用されるケースが多く、日頃から活用していればポイントが着実に溜まるため、効率的にマイルを獲得したい場合は支払いで溜めたポイントからの移行がおすすめです。
ポイントをマイル移行する際の還元率は法人カードごとのマイレージプログラムによって異なります。
例えば、アメックスの法人向けゴールドカードは2,000ポイント=1,000マイル(還元率0.5%)ですが、ダイナースクラブの法人カードは1,000ポイント=1,000マイル(還元率1.0%)で移行可能です。
ポイントのマイル移行に上限が設けられている法人カードもある
法人カードによってはポイントのマイル移行に年間上限が設けられており、一度に大量のポイントをマイルへ移行できない場合があります。
さらにポイントの有効期限が短い法人カードの場合、年間上限に引っかかるとマイル移行だけでは累積ポイント全額を失効する前に活用できないリスクがあるのです。
ポイントの有効期限が短い法人カードを運用していて貯まったポイントを無駄にすることなく消費したい場合は、マイル移行に限らず他のプログラム活用も検討しなくてはいけません。
さらに一度ポイントから移行したマイルは基本的に他の航空会社マイルへ移行(JALからANAなど)できないため、移行先は自身にとって最も利用する機会が多い航空会社を選びましょう。
法人カードの利用によって大量に貯まったポイントをマイル移行し、国内線や国際線の航空券と交換すれば、出張にかかる旅費の大幅カットが可能です。
ただしポイントをマイル移行する際に手数料が発生するケースや、マイレージプログラムに対応していない法人カードも一部存在します。
2. ポイントとオフィス用品を交換して経費の削減を図る
法人カードはそれぞれポイントによる商品交換プログラムが用意されているため、貯まったポイントをオフィス用品と交換すれば毎年の経費を削減可能です。
各法人カードのプログラムによって取り扱っている商品は異なりますが、ペンや付箋、コピー用紙、ティッシュペーパーなどラインナップは豊富であり、これらオフィスで頻繁に使われるアイテムをポイントで交換できます。
オフィス用品1つあたりの価格はそれほど高価ではありませんが、事業規模が大きい場合は年間のコストで合算すると高額。オフィス用品の購入は普段、一定額以上の注文で送料が無料となる通販サイトを利用している企業・個人事業主が多いのではないでしょうか。
一方で法人カードのポイントプログラムを利用すればオフィス用品の購入にかかるコストを大幅に低減できるため、経費の見直し・削減を図りたい場合は利用する価値があります。
さらに空気清浄機やコードレス掃除機などに交換できるプログラムもあるため、オフィスに新たな備品を導入したい場合にもおすすめです。
また法人カードによっては、貯まったポイントを電子マネーや他のポイントサービスに交換できる場合があります。
楽天の法人カードは1ポイント=1円で楽天Edyにチャージできるため、より多様なシーンでポイントを活用可能です。
3. ポイントを有価証券に交換して贈答品として活用する
法人カードの利用によって貯まったポイントは商品券や金券などにも交換できるため、交換して得た有価証券を取引先へのお礼や従業員の労いにおける贈答品として活用できます。ポイントを有価証券に交換することで、各ポイントプログラムで扱っていない商品を他の店舗で購入することも可能です。
商品券や金券は相手との関係性や嗜好を気にする必要がなく、受け取った相手が自ら商品を選べるのでビジネスにおける贈答品として相応しいアイテムです。
法人カードのポイント交換で得た商品券や金券であれば費用がかからないため、交際費および従業員に対する福利厚生費の低減に役立ちます。
加えて商品券や金券は保管する際に広いスペースを必要としないため、ポイントが貯まったときに特別使う宛てがない場合は、とりあえず有価証券に交換して保管しておくという方法もおすすめです。
ただし従業員の表彰や報奨で金券・商品券を支給する場合、給与課税の対象となる点に注意しましょう。
法人カードによる決済を頻繁に行う場合は還元率の高い銘柄がおすすめ
法人カードは利用額に応じて一定のポイントが付与されるため、経費の支払いで法人カードによる決済を頻繁に行う場合はポイント還元率の高い銘柄がおすすめです。
還元率は「ポイント付与値/カードの利用額」で決まります。ポイント還元率の高い主な法人カードは次のとおりです。
ポイント還元率 | |
---|---|
オリコ EX Gold for Biz) | 0.5〜1.1% |
楽天ビジネスカード | 1% |
ダイナースクラブ ビジネスカード | 0.4〜1.0% |
JCBゴールド法人カード | 0.5〜0.8% |
「オリコ EX Gold for Biz」は基本の還元率が0.5%ですが、利用額に応じてステージアップが設けられており、年間利用額が2,000万円以上の場合は最大1.1%の高い還元率となっています。
「楽天ビジネスカード」のポイント還元率は基本1%ですが、楽天市場や楽天トラベルの決済では還元率が上昇するので楽天系のサービスを頻繁に利用する場合はおすすめです。
また「ダイナースクラブ ビジネスカード」や「JCBゴールド法人カード」のように、利用する加盟店やECサイトなどによってポイント還元率が変動する法人カードも存在します。ポイント還元率が0.5%以上であれば、ポイントが貯まりやすい法人カードといえるでしょう。
法人カードで溜めたポイントを活用すれば経費の削減が可能
法人カードで溜めたポイントはマイル移行やオフィス用品・有価証券との交換といった活用ができ、貯まったポイントが多いほど旅費や事務用品費といったコストを削減できます。
ポイントの使いやすさは法人カードによって異なるため、法人カードを発行する際は事前にマイル移行先やポイントプログラムで取り扱っている交換対象商品などをチェックしておきましょう。