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交通機関を利用する頻度が多い人は「交通系ICカード」を利用すると利便性が高いのでおすすめです。そんな交通系ICカードの代表格といえば「PASMO」や「Suica」が挙げられます。
交通系ICカードは基本的に「チャージ」して、それを消費する形で支払いを行うのですが、クレジットカードと連携することができればさらに利便性が高くなります。そこで、PASMOで使える法人クレジットカードについて解説します。
PASMOの特徴
まずは、そもそもPASMOがどのような交通系ICカードなのかについて解説します。
PASMOのメリット
「PASMO(パスモ)」とは、首都圏の電車やバスの利用料の支払いで使うことができる交通系ICカードです。しかし、全国さまざまな場所でPASMOを使った支払いができるという大きなメリットがあります。利用の仕方に応じて数種類のカードから選べるのが特徴です。
PASMOの具体的なメリットは以下の通りです。
- 全国さまざまな場所で使える
- 4種類のカードがある
- 3種類のチャージ方法がある
- 一体型はポイントが貯まる
- 東京メトロ線でもポイントが貯まる
- バス特を利用できる
全国さまざまな場所で使える
まずは「全国さまざまな場所で使える」ことです。PASMOは鉄道やバスでの支払いで使えるだけではなく、対応しているショップであれば電子マネーとして支払いに使うことができます。
日本もキャッシュレス時代に突入しつつある中で、利便性の高いカードとしてPASMO利用の幅はさらに広がっていくことでしょう。
4種類のカードがある
次にPASMOには「4種類(大人用)のカードがある」という点が挙げられます。
- 無記名PASMO
- 記名PASMO
- PASMO定期券
- 一体型PASMO
「無記名PASMO」は紛失時の再発行ができない代わりに、誰でも利用することができるPASMOです。
「記名PASMO」は記名人のみ利用でき、紛失時には再発行ができるタイプのPASMOです。
「PASMO定期券」は定期券の機能が付帯しているPASMOですが、チャージすれば定期の区間外の支払いも可能です。
「一体型PASMO」はクレジットカードが一体になっているPASMOで、PASMOにはオートチャージ機能が付帯し、クレジットカードとしてさまざまな場所での決済に使用できるカードとなっています。
3種類のチャージ方法がある
次に「3種類のチャージ方法がある」ことです。
- オートチャージ
- クイックチャージ
- 現金チャージ
「オートチャージ」は、対応しているクレジットカードとの連動により、決済時に残高が一定額以下(設定金額)になっている場合に、自動的にチャージする機能です。
「クイックチャージ」は、一部の券売機を使用してオートチャージ対応のクレジットカードでチャージできる機能です。
「現金チャージ」は、券売機やチャージ機などに現金を投入してチャージする方法です。
一体型はポイントが貯まる
次に「一体型PASMOの中にはポイントが貯まるものがある」ことです。一部のクレジットカード一体型PASMOの中にはPASMO利用によってポイントを貯めことができ、それをPASMOにチャージすることが可能な機能が備わっています。
東京メトロ線でもポイントが貯まる
また、上記対象外のPASMOであっても「東京メトロ線の乗車でポイントが貯まる」というメリットがあります。「メトポ」というサービスで、貯まったポイントはPASMOにチャージすることが可能です。
バス特を利用できる
最後に「バス特を利用できる」というメリットです。正式名称は「バス利用特典サービス」であり、PASMOやSuicaのSFを利用してバスに乗車すると自動的に「バスポイント」が貯まり。PASMOやSuicaに自動的に特典バスチケットが付与されます。
この特典バスチケットは次回のバス利用時に運賃としてPASMOやSuicaのSF残額に優先して10円単位で自動的に使用されるのです。
PASMOのデメリット
PASMOは、同じ交通系ICカードである「Suica」と比較すると、モバイル版が無いなどのデメリットが存在します。また、すでにSuicaを利用中の人の場合、わざわざPASMOを作ってお財布の中のカード枚数を増やすデメリットを負う必要が無いという点も気になります。
PASMOの具体的なデメリットは以下の通りです。
- モバイル版が無い
- ポイントサービスが無い
- Apple Payに対応していない
- SuicaがあればPASMOは不要
モバイル版が無い
まず「モバイル版が無い」ことです。SuicaにはスマホでSuicaの機能を持たせたアプリ「モバイルSuica」があり、Suicaカードを持っていない状態でもSuicaを使うことができます。
しかしPASMOには、モバイルSuicaに相当する機能を持ったアプリが無いので、PASMOが必要なときはPASMOカードを携帯していなければなりません。
ポイントサービスが無い
次に「ポイントサービスが無い」ことです。前述の通りクレカ一体型やメトロの乗車ポイントなどのポイントサービスはあるのですが、Suicaのようにショッピングでの支払いでポイントを貯めることができません。
PASMOで貯められるポイントはかなり限定的であるため、デメリットに感じてしまう人が少なくありません。
Apple Payに対応していない
次に「Apple Payに対応していない」ことです。
クレジットカードを登録するだけで使える便利な決済手段であるApple Payですが、交通系ICカードでは残念ながら2019年5月時点では「モバイルSuica」のみ支払いに対応しています。
一応、力業としてICカードを収納できるスマホケースを使うという方法がありますが、それではあまり意味が無いでしょう。
SuicaがあればPASMOは不要
最後に、すでにSuicaをお持ちの人・利用中の人は、PASMOを作るメリットがほとんど無いという点もデメリットだといえます。
PASMOとSuicaは交通系ICカードの代名詞ともいえるICカードなのですが、PASMOが使える場所ではSuicaも使えることが多いのです。
つまり、Suicaをお持ちの人は、PASMOを作っても同じような使い方ができるカードを2枚持つだけになるので、メリットが薄いのです。
PASMOで使えるクレジットカード一覧
PASMOにオートチャージ・クイックチャージできるクレジットカードは限られています。具体的には以下のクレジットカードでチャージ機能を利用することができます。
- パスタウンカード
- 小田急OPクレジットカード
- 京王パスポートカード
- 京急プレミアムポイントゴールド/シルバー
- 京成カード
- SEIBU PRINCE CLUBカードセゾン/SEIBUプリンスカード
- 相鉄カード
- 東急カード
- 東武カード
- Tokyo Metro To Me CARD
- 横浜交通hama-eco card
- JACCS Shonan Card
パスタウンカード
「パスタウンカード」は、カード会社がパスモと提携して発行するクレジットカードのことです。
「JCB」と「VISA」の2種類のカードブランドがあります。申込書はPASMO鉄道事業者の駅やカード会社にて配布しています。
小田急OPクレジットカード
「小田急OPクレジットカード」は、最大で10%のポイントを貯められるクレジットカードです。
3種類のカードブランドから選ぶことができ、「小田急あんしんグーパスIC」「小田急まなたび」などのサービスを利用することができます。
京王パスポートカード
「京王パスポートカード」は、PASMO一体型のクレジットカードと、分離型のカードから選ぶことができます。どちらもオートチャージに対応しており、使い勝手によって選ぶことができます。
京急プレミアムポイントゴールド/シルバー
「京急プレミアムポイントゴールド/シルバー」は、どちらもPASMOへのオートチャージ機能を備えています。ゴールドは年会費が安いのですが、豊富なサービスが付帯しているためコスパの良いゴールドカードです。
京成カード
「京成カード」は、京成・新京成・北総沿線にお住まいの方にとって利便性の高いクレジットカードです。「オリコ」「MUFG」の2種類がありますが、どちらもPASMOのオートチャージ機能を備えています。
SEIBU PRINCE CLUBカードセゾン/SEIBUプリンスカード
「SEIBU PRINCE CLUBカードセゾン/SEIBUプリンスカード」は、プリンスホテルや西武鉄道をはじめとした西武グループ各社のサービスを取り揃えたカードです。選べるカードブランドが多く、2種類のポイントプログラムが用意されています。
相鉄カード
「相鉄カード」は、本カードおよび家族カードの年会費が無料のクレジットカードです。「iD」一体型のカードを選択できます。富士急グループ施設での割引など、カード利用やカード提示によってさまざまな特典を利用できます。
東急カード
「東急カード」は、東急グループ・提携企業のお店でポイントを貯めやすいカードです。PASMO一体型のタイプが人気なようで、貯まったポイントはPASMOにチャージすることができます。JMB機能搭載で、JALマイルを貯めることもできます。
東武カード
「東武カード」は、ポイントサービスやPASMOオートチャージ対応のほか、東武鉄道チケットレスサービスなどのサービスも利用できるカードです。PASMO一体型のカードは年会費がかかりますが、年10万円以上の利用で同等のポイントが付与されます(オートチャージ機能は通常の東武カードでも利用可能)。
Tokyo Metro To Me CARD
「Tokyo Metro To Me CARD」は、メトロポイントPlusの登録を行ったPASMOで東京メトロ乗車やメトロポイントPlus加盟店での電子マネー利用によってポイントが貯まるカードです。カード会社のポイントも貯まるので、ポイントを貯めやすいカードとなっています。
横浜交通hama-eco card
「横浜交通hama-eco card」は、市営バスや地下鉄の定期券、シニアパス購入分にワールドプレゼントポイントが3倍付与されるカードです。こちらのカードも「iD」搭載型です。貯まったポイントは交通局のオリジナル景品とも交換できます。
JACCS Shonan Card
「JACCS Shonan Card」は、PASMOのオートチャージによって「ShonanPoint」を貯めることができ、貯まったポイントはオートチャージから値引くことができます。
また、Shonan Card は収益の一部を「公益財団法人かながわ海岸美化財団」に寄付するため、利用することで湘南の海を綺麗にすることに貢献できます。
注意点
PASMOにオートチャージできるクレジットカードには「一体型」と「分離型」があります。一体型(カード表面にPASMOのマークがあるカード)は自動的にオートチャージ機能を利用できるのですが、分離型の場合は別途申し込みが必要です。
おすすめの法人クレジットカード
さて、上記12種類のカードは、どれも個人向けのクレジットカードであり、法人カードは含まれていません。
では、法人カードでPASMOにオートチャージ・クイックチャージできるカードはあるのかといえば、残念ながら2019年5月時点では存在しません。
法人カードが唯一使える交通系ICカードは「Suica」である
交通系ICカードはPASMO以外にもさまざまなものがありますが、どのカードも基本的に法人カードに対応していません。交通系ICカードへのオートチャージは、個人カードでしかできないものだと考えた方が良いでしょう。
その例外となるのが「Suica」です。Suicaもオートチャージすることができないのですが、ある裏ワザを駆使することで法人カードでSuicaにチャージすることが可能なのです。その方法とは「モバイルSuica」や「Apple Pay」を利用することです。
モバイルSuica
モバイルSuicaの登録クレジットカードを、法人カードにする方法です。特に「View法人カード」はモバイルSuicaの年会費が無料になるのでおすすめです。ただし、オートチャージ機能には対応しておらず、端末を操作することでチャージすることができます。
Apple Pay
「Apple PayのSuica」とは、iPhoneやアップルウォッチでSuicaを発行することで、クレジットカード等でチャージできます。以下のクレジットカードであれば、Suicaアプリケーションに登録することができます。
- ビューカード(JR東日本グループのクレジットカード)
- JCB
- VISA
- Mastercard
- American Express
- Diners Club
- JR東海エクスプレス・カード
チャージ方法や使い方
次に、PASMOのチャージ方法について解説します。前述の通り、PASMOは3種類のチャージ方法から選択できます。
なお、使い方は簡単で、一般的なICカードと同じく読み取り部にカードをタッチするだけで決済できます。不明な点があれば、店員や駅員に確認してください。
オートチャージ
「オートチャージ」は、PASMOを改札機にタッチするだけで自動的にチャージするサービスです。一体型カードの場合は自動的にこのサービスを利用できますが、分離型の場合は別途事前の登録が必要です。「実行判定金額」と「実行金額」を設定しておき、タッチ時に判定金額以下の場合に実行金額が自動的にチャージされます。
クイックチャージ
「クイックチャージ」は、オートチャージに対応しているクレジットカードを使って、東急線各駅の自動券売機でチャージすることができます。簡単な操作でチャージできるので、必要なときに手間をかけずに必要額をチャージできます。
現金チャージ
「現金チャージ」は、券売機などに現金を投入してチャージします。駅では券売機やチャージ機を使用し、バス車内でも運賃機を、お店でもカードリーダーを使用して現金チャージを利用することができます。
その他おすすめの電子マネー
PASMOやSuica以外にも、電子マネーは数多く存在しています。
その中でも、PASMOやSuicaと類似しているカードで、なおかつ法人カードで利用できる電子マネーとして以下のカードをおすすめします。
- iD
- クイックペイ
iD
「iD」は、NTTドコモが運営する決済プラットフォームです。一般的な電子マネーとは異なり、クレジットカードを紐づけして後払いするタイプの電子マネーです。iDマークのある店舗での決済に使用することができ、その数は50万以上ともいわれています。
iDを搭載している法人カードは以下のとおりです。
- 三井住友クラシックforOwners
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
QUICPay
「QUICPay(クイックペイ)」とは、多くのクレジットカードに搭載されている電子マネーの1つです。
さまざまな支払いに対応しており、指定しているカードによって異なるポイントを貯めることができます。利便性の高いサービス「QUICPayモバイル」も利用できます。
クイックペイを搭載している法人カードは以下のとおりです。
- JCB法人カード
- オリコEX Gold for Biz
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
まとめ
PASMOは法人カードとの紐づけができない点は残念ですが、ほとんどの交通系ICカードは法人カードでのオートチャージはできないので大きなデメリットになることは無いでしょう。
SuicaやiDなど、法人カードとの紐づけができる電子マネー等もありますので、利便性を考慮して利用する電子マネーを選んでください。